中部・西日本3場の特徴と、旅として楽しむ会場めぐりの入口です。
前回は首都圏の川口・伊勢崎を紹介しました。今回は残る3会場、中部の浜松(静岡)、そして西日本の飯塚(福岡)・山陽(山口)を巡ります。
この3場は、首都圏勢に比べると少し遠方にありますが、そのぶん各地の文化が色濃く反映された、味わい深い会場ぞろい。浜松餃子に博多のホルモン、瀬戸内のチャンポン——ご当地グルメだけでも"旅"の価値があります。それぞれの個性をたっぷり紹介していきましょう。
浜松オートレース場|中部唯一、餃子の聖地
モータースポーツ文化が根づく街
静岡県浜松市にある浜松オートレース場は、中部地方で唯一のオートレース場。1956年に開設された歴史ある会場で、中部のオートレースファンの拠り所となっています。
浜松といえば、ヤマハやスズキといった二輪・四輪メーカーを生んだ"モノづくりの街"。モータースポーツ文化が地域に深く根づいており、オートレースとの相性は抜群です。走路は乾きやすく滑りやすい「高速展開型」とされ、スピード感あふれるレースが魅力。地元浜松所属の選手層も厚く、ホームの利を活かした地元勢の活躍が見られやすい傾向があります。
一時は収支悪化で廃止が検討されたこともありましたが、選手会の存続を求める署名活動や民間委託による経営改善を経て、見事に存続。2022年にはメインスタンドがリニューアルされ、きれいで快適な観戦環境が整いました。困難を乗り越えてきた歴史を知ると、応援にも一層熱が入ります。
高速展開型の走路は、スタートからの伸びとスピードが結果を大きく左右します。地元浜松勢には実力者が多く、走り慣れたホームの走路で力を発揮するシーンは、地元ファンにとって何よりの見どころ。逆に、遠征してくる他場のトップ選手が浜松の高速走路をどう攻略するかも、見ごたえのあるポイントです。スピード感のあるレースが好きな人にとって、浜松は相性のいい会場といえるでしょう。
名物はやっぱり「浜松餃子」
浜松オートのグルメといえば、なんといっても浜松餃子。「餃子オート」と呼ばれるほど、ご当地グルメが充実した会場です。
浜松餃子は、円形に並べて焼き、中央にゆでもやしを添えるのが特徴。キャベツをたっぷり使った具は野菜の甘みが効いていて、タレなしでも美味しいと評判です。場内の食堂や売店で、焼きたてアツアツの一皿を味わえます。餃子と一緒に楽しみたいのが、浜松のもう一つのB級グルメ遠州焼き。たくあんが入ったお好み焼きで、素朴ながらクセになる味わいです。おでんなど、ほっとする定番メニューも揃っています。
毎年のように場内で「浜松餃子まつり」が開催され、浜松餃子だけでなく宇都宮・京都・博多など全国のご当地餃子が大集合。食べ比べが楽しめる人気イベントとして、家族連れでにぎわいます。
アクセス
浜松駅北口のバスターミナルから、無料送迎バスが約20〜30分で会場まで運行しています。新幹線で浜松駅まで来れば、そこからのアクセスは良好。旅行がてら立ち寄るプランも組みやすい会場です。
飯塚オートレース場|ミッドナイト発祥の革新派
深夜開催の先駆者
福岡県飯塚市にある飯塚オートレース場は、九州唯一のオートレース場。そして、オートレース界に大きな変革をもたらした"革新派"の会場でもあります。
その代表が、2015年に初開催したミッドナイトオートレース。深夜帯に無観客・ネット投票限定で行うこの開催形態は、競輪の「ミッドナイト競輪」にならったもので、仕事や家事を終えた夜遅くにスマホで楽しめると好評を博しました。専用の消音マフラーを装着して騒音に配慮するなど、地域と共存しながら新しいファン層を切り開いた功績は大きく、いまでは全国の会場に広がっています。
音楽との結びつきが強いのも飯塚の個性。CMソングやファンファーレに地元ゆかりのアーティストの楽曲を採用しており、年末の大一番ではエレキギターによるファンファーレが演奏されたことも。レースだけでなく、エンターテインメントとしての演出にこだわる姿勢が光ります。2025年には半世紀ぶりとなるメインスタンドの建て替えが完成し、設備も一新されました。
飯塚グルメは食堂が大人気
飯塚オートの楽しみのひとつが、場内食堂の存在感。新しくオープンした「えびちゃん食堂」は、ホルモン丼やホルモンうどんが名物で、昼時には行列ができるほどの人気ぶり。九州らしいこってり系のメニューが、レース観戦のお腹を満たしてくれます。ほかの売店でも、焼きそばや、夏のかき氷、冬の肉まんなど、季節に合わせたメニューが楽しめます。混雑する昼の時間帯を少しずらして利用するのが、賢い楽しみ方です。
開催日には、解説者や実況とともにグルメを紹介する食レポ企画や、勝利の女神によるトークコーナーなど、CS放送・YouTube配信での演出も充実。会場に行けない人でも、自宅から飯塚の雰囲気を楽しめる工夫が随所にこらされています。ミッドナイト開催のときは、深夜にスマホ越しでレースと配信を同時に楽しむ、という飯塚ならではのスタイルもおすすめです。
山陽オートレース場|瀬戸内の自然に囲まれた最西端
駅から徒歩2分、走路コンディションは随一
山口県山陽小野田市にある山陽オートレース場は、5場のなかで最も西に位置する会場。瀬戸内海にほど近く、緑の山々を背景にした自然豊かなロケーションが魅力です。
特筆すべきは、そのアクセスの良さ。JR山陽本線の埴生(はぶ)駅から、専用通路を通ってわずか徒歩2分。「駅を出たらもうオートレース場」というほどの近さで、5場のなかでも屈指の便利さです。山陽自動車道の埴生インターからも車で約5分とアクセスは万全。
そして、ファンのあいだで評価が高いのが走路コンディションの良さ。全会場を回ったファンからも「山陽の走路が一番良い状態」と評されるほどで、選手が実力を発揮しやすい環境が整っています。オート界初の「ハイビジョンホール」を備えるなど、設備面でも先進的な取り組みをしてきた会場です。3連勝単式・3連勝複式・ワイドの各車券を、全国で最も早く発売したのも山陽でした。
50年以上愛される「山陽食堂」
山陽オートのグルメの主役は、昭和の時代から50年以上にわたってファンに親しまれてきた老舗「山陽食堂」。ラーメンやチャーシュー麺、高菜ラーメン、肉うどん・そばなど、昔ながらの味が今も健在です。
もう一つの食堂では、わかめむすびやチャンポン、カレーうどん、えび天そば、ごぼう天そば、きつねうどんなど、瀬戸内・九州エリアらしいメニューが揃います。派手さはありませんが、長く通うファンの胃袋を支えてきた滋味深い味わいは、山陽ならではの魅力です。レースが開催されていない日でも、他場の中継を観られる場外発売が行われており、その合間に食堂でゆっくり過ごすのも乙なもの。2019年からはミッドナイトオートレースも開催し、新旧の楽しみ方が共存する会場となっています。
遠征する価値あり!旅と組み合わせる楽しみ方
首都圏の川口・伊勢崎が日帰りで気軽に行けるのに対し、浜松・飯塚・山陽は少し遠方。だからこそ、観光やグルメとセットで「遠征」する楽しみが生まれます。
浜松なら、新幹線でアクセスして餃子の食べ歩きと組み合わせるのが王道。市内には名店がひしめいており、オートレース観戦の前後に浜松餃子をハシゴする、という贅沢なプランが立てられます。
飯塚を含む福岡遠征では、博多のグルメや観光と組み合わせれば、九州旅行の一日をオートレースに充てるイメージ。ミッドナイト開催を狙えば、昼間は観光、夜はネット投票でレース観戦という二段構えも可能です。
山陽は、瀬戸内エリアの自然や温泉と相性抜群。埴生駅から徒歩2分という近さを活かして、山口・下関方面の旅程にさらりと組み込めます。緑の山々を背景にした、のどかな雰囲気のなかでレースを眺める時間は、都会の会場とはまた違った癒やしを与えてくれるでしょう。
全国にたった5場しかないからこそ、すべてを巡る"オートレース場めぐり"そのものが一つの趣味になります。各地のご当地グルメを味わいながら、走路や所属選手の違いを体感していく——スタンプラリーのような感覚で、少しずつ制覇していくのも楽しいものです。
まとめ:旅の目的地としても楽しめる3場
中部・西日本の3会場を整理すると——
- 浜松は中部唯一の会場。モータースポーツ文化が根づく高速展開型の走路で、名物は浜松餃子と遠州焼き。リニューアルしたきれいなスタンドも魅力
- 飯塚は九州唯一でミッドナイト発祥の革新派。えびちゃん食堂のホルモン丼が人気で、2025年に新スタンドが完成
- 山陽は最西端の自然豊かな会場。埴生駅から徒歩2分の好アクセスと随一の走路コンディションが自慢。50年以上続く山陽食堂の味も健在
これら3場は、いずれもご当地グルメと地域文化が色濃く、ちょっとした旅の目的地としても十分に楽しめます。全国5場をすべて巡って、自分と相性のいい"ホーム会場"を見つけるのも、オートレースファンの醍醐味。まずは映像で各会場の雰囲気を味わいつつ、いつか現地でエンジン音を浴びる日を楽しみにしてみてください。お気に入りの会場とお気に入りの選手が見つかれば、オートレースはきっと、あなたの暮らしに彩りを添えてくれる長く付き合える趣味になるはずです。
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最終更新日: 2026-06-13